新しく理事会役員になられた方、日頃の疑問や多くの悩みを持たれている方に対し、「建物・設備の維持管理」に関するものを基礎にQ&A形式で掲載いたします。
【建物・設備の維持管理】
(1)保守点検の実施
(2)長期修繕計画の作成・見直し
(3)修繕積立金の積み立て
(4)大規模修繕工事の実施
(5)耐震性の検討
(6)図書の整理、保管・閲覧
先ずは、5つの質問をご紹介します。(2025年3月18日新規記載:1~5)
1. 共用部分の点検には、どのようなものがありますか?
2. 標準的な長期修繕計画は、どのような内容ですか?
3. 大規模修繕工事を実施するに当って、管理組合の体制はどのようにしたら良いですか?
4.防犯のために個人で窓サッシのクレセントを取替、ガラスシートを貼っても良いでしょうか?
5.マンションの設計図書が長年使用により痛んできましたので使えなくなります?
Q :共用部分の点検にはどのようなものがありますか。
A:マンションにおける点検は、建物や設備の異常を初期段階で捉えて、次に講ずる対策を
決めるための重要な作業です。したがって、点検は、その内容、目的、実施時期などに
よって様々ですが、一般的に次のように区分しています。
①日常点検
②定期点検:法定点検、保守契約による点検及び自主点検があります。
③臨時点検:災害点検及び不具合点検があります。
参考:詳しくは、「マンション管理組合による自主点検マニュアル」((財)マンション管理センタ
ー発行)をご覧ください。
Q: 標準的な長期修繕計画は、どのような内容ですか?
A: 「長期修繕計画作成ガイドライン」(国土交通省)において、次のとおり示されています。
〔長期修繕計画の構成〕
長期修繕計画の構成は、次に掲げる項目を基本とします。
①マンションの建物・設備の概要等
②調査・診断の概要
③長期修繕計画の作成・修繕積立金の額の設定の考え方
④長期修繕計画の内容
⑤修繕積立金の額の設定
〔長期修繕計画標準様式の利用〕
長期修繕計画は、長期修繕計画標準様式(国土交通省)を参考として作成します。
なお、マンションには様々な形態、形状、仕様等があるうえ、立地条件も異なってい
ることから、これらに応じた適切な長期修繕計画とするため、必要に応じて標準様式
の内容を追加して使用します。
また、 「長期修繕計画作成ガイドラインコメント」(国土交通省)において、次のと
おり示されています。
標準様式は、標準的な構成に次のように対応しています。
①マンションの建物・設備の概要等 → 【様式第1号】
②調査・診断の概要 → 【様式第2号】
③長期修繕計画の作成の考え方 → 【様式第3-1号】
④長期修繕計画の内容
・計画期間の設定 → 【様式第3-1号】
・推定修繕工事項目の設定 → 【様式第3-2号】
・修繕周期の設定 → 【様式第3-2号】
・推定修繕工事費の算定 → 【様式第4-3号、第4-4号】
・収支計画の検討 → 【様式第4-1号、第4-2号】
⑤修繕積立金の額の設定 → 【様式第5号】
Q:大規模修繕工事を実施するに当って、管理組合の体制はどのようにしたら良いですか?
A:大規模修繕工事を実施するには、工事の内容、施工会社の選定、資金計画など様々なことを検討しな
ければなりません。これらを検討し、組合員の合意を得ていくには専門的な知識と2年程度の期間が
必要なため、マンションの規模によりますが理事会の諮問機関として大規模修繕工事の実施に関して
検討を行う「専門委員会」を設置することが必要と考えられます。
大規模修繕工事の実施の検討にあたって、まず、「専門委員会」の設置と併せて調査・診
断や修繕設計の実施について、管理組合の総会で承認を得ます。専門委員会において
は、大規模修繕工事の必要性、実施すべき工事の内容・実施時期・工事費とその資金計
画、施工会社の選定などについて検討し、結果を理事会に答申します。そして、総会で
決議を得た後に、施工会社等との契約を行い、工事に着手するのが一般的な流れです。
専門委員会のメンバーは、組合員の中から経験や関心のある方や建築、金融、法務等の
関係する専門知識を持っている方の参加を募り、組織することが考えられます。
なお、専門委員会の設置にあたっては、理事会の諮問を受けた検討機関としての位置付
けを明確にして、運営細則を定めておくことが望まれます。
また、管理組合として、準備段階から想定される問題点等について居住者に説明しておくとともに、
工事の実施前に説明会を開催するなど、十分な情報提供に配慮する必要があります。
Q:防犯のために個人で窓サッシのクレセントを取替、ガラスシートを貼っても良いでしょうか?
A:標準管理規約では、窓サッシのクレセントやガラスは、共用部分の専用使用部分(第14条第1項)と
されています。そして、専用使用部分については、「通常の用法にしたがって使用しなければならな
い。」(第13条)とし、バルコニーの清掃や窓ガラスの破損による取替えなどの「通常の用法に伴うも
のについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。」(第
21条第1項)としています。
その一方で、「通常の用法に伴うもの」以外の修繕工事は、管理組合が、長期修繕計画を
踏まえて計画修繕工事として行うことが原則であり、(専用使用権を有する)区分所有者
が、勝手に取替え等を行うことはできないことに留意しなければなりません。
専用使用部分の具体的な用法や、用法の変更に伴う管理組合の承認手続きなどに関して、使用細則を
定めることが可能です(第18条)。窓サッシの戸車が摩耗したまま無理に使用を続けると、サッシの
枠が損傷して枠の取替えが必要となることもありますので、このような事態にならないように、クレ
セントの取替えやガラスへのシート張りのほか、戸車、ガラスを止めるビード、エアタイトゴム、網
戸などのサッシ本体より修繕周期が短い部品の管理や負担に関しても、あらかじめ使用細則に定めて
おくことが望考えられます。
Q:マンションの設計図書が長年使用により痛んできましたので使えなくなります?
A:長期修繕計画をより有効なものとするため、また、大規模修繕工事を効果的に行うためには、次に掲
げる維持管理に関する情報が保管され、それらに反映できる状態になっていることが必要です。
①新築時の設計図書、申請書類等
②点検(法定点検、保守契約による点検等)の報告書、調査・診断の報告書
③既に実施した計画修繕工事の図面や関係書類
これらの設計図書や修繕工事の図面は、建物が存続する限り必要ですので、長年の閲覧
や貸出による傷みや紛失を防ぐために、原本は大切に保管し、コピー(紙)や電子ファ
イル(CD等)して、閲覧や修繕工事のための貸出に応じることが望まれます。
なお、(財)マンション管理センターが運営する「マンションみらいネット」を活用し、
修繕工事の履歴を登録するとともに、設計図書等を電子ファイル化(オプション)して保
管する方法もあります。センターがバックアップ用の電子ファイルを保管しますので万が
一の紛失や事故にも安心です。