新しく理事会役員になられた方、日頃の疑問や多くの悩みを持たれている方に対し、「管理組合の運営」に関するものを基礎にQ&A形式で掲載いたします。
【管理組合の運営】
(1)総会の運営
(2)理事会の運営
(3)防災・防犯
先ずは、5つの質問をご紹介します。(2025年1月5日新規記載:1~5)
1. 総会には、どのような種類がありますか。
2. 総会は毎年開く必要がありますか。
3. 理事会の議事の広報はどうすればよいですか。
4. 役員の任期は、どの位が適当ですか。
5. 専門委員会とは何ですか。また、設置に際しての留意点はありますか。
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Q: 総会には、どのような種類がありますか。
A: 区分所有法では、集会の種類や開催回数については特に規定はありませんが標準
管理規約では、少なくとも年1回開催することが必要な通常(定期)総会と、必
要に応じて開催する臨時総会とを共に区分所有法に定める集会としています(標
準管理規約第42条2項)。
Q: 総会は毎年開く必要がありますか。
A: 区分所有法では、管理者は少なくとも毎年1回、集会(総会)を招集し(第34条
2項)、また管理者は集会において、毎年1回一定の時期に、その事務に関する報
告をしなければならない(第43条)としており、年1回の総会開催と事務の報告
は、法律上の義務とされています。ただし、災害や感染症の感染拡大などの事情が
生じた場合で、やむを得ないときには、これらの状況が解消された後、遅滞なく招
集すれば足りるとされています(標準管理規約42条関係コメント)。
Q :理事会の議事の広報はどうすればよいですか。
A:理事会は理事によって構成される会合で、一般の組合員は原則として出席できませ
ん。一般の組合員としては総会で選任した理事がどのように活動しているか関心が
高い場合があり、そのような組合員に応えるためにも理事会の活動状況を何らかの
方法で伝えることは有意義です。理事会の議事については、総会の議事のように議
事録等の戸別配布までは要しないものの、理事会の開催日時、議題、審議内容や結
果等を広報することが大切です。また区分所有者が必要に応じて議事録を閲覧でき
るような対応をすることが望まれます。
Q :役員の任期は、どの位が適当ですか。
A:理事と監事の任期については、区分所有法では、管理組合法人の理事や監事の任期
は2年と規定され、規約で3年以内に任期の規定が可能とされていますが、それ以
外の規定はありません。標準管理規約では「役員の任期は○年とする」としており
コメントでは、管理組合の事情に応じて1~2年で設定することとしています。
役員の任期については、短すぎても長すぎても問題が生じる恐れがありますので、
管理組合の事情に応じてその期間を定める必要があります。
役員の任期について、「通常総会の翌日から次の通常総会の日までとする。」とい
う決め方も可能です。また、標準管理規約題36条のコメントでは「業務の継続性
を重視すれば、役員は半数改選とするのもよい。この場合には、役員の任期は2年
とする。」と記載されています。
Q: 専門委員会とは何ですか。また、設置に際しての留意点はありますか。
A:管理組合の運営は理事会によって行われますが、管理規約の改正、共用部分の変
更、大規模修繕工事の実施等のような大きな事業については、そのための事前の調
査、検討や準備に相当の期間、労力や専門性が求められ、理事会のみでは対応でき
ないことがあります。また、実施に際しても同じような問題があります。このた
め、理事以外の組合員の参加を得て対応する方法が考えられます。このための組織
を専門委員会と称しています。
専門委員会の設置方法については、標準管理規約では、①理事会がその責任と権限
の範囲において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることがで
きる、②専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申するとして、その性
格を理事会の諮問機関としています(第55条1項、2項)。
理事会は、専門委員会の具申を受けて、その内容を検討し修正すべきは修正して総
会議案を作成し、総会に諮ることになります。
なお、専門委員会の活動費が大きくなる場合や運営細則の制定が必要な場合など
は、専門委員会の設置、運営細則の制定及び専門委員会の活動予算などについて総
会の決議が必要であると考えられます。