新しく理事会役員になられた方、日頃の疑問や多くの悩みを持たれている方に対し、「管理業務等の委託」関するものを基礎にQ&A形式で掲載いたします。
【管理業務等の委託】
(1)委託契約等の締結
(2)管理事務の報告
(3)団地・複合用途型マンション
先ずは、5つの質問をご紹介します。(2025年3月18日新規記載:1~5)
1.管理委託契約書の保管・閲覧はどのように行うのですか?
2.マンション内の居住者の高齢化に伴う対応を管理業者に委託することは可能ですか?
3.標準管理委託契約書とは、どのようなものですか?
4.管理会社との定期的な打ち合わせは、どのようにすればよいですか。
5.管理員や管理業者に対し、理事や一般組合員が様々な要求をすることは、カスタマー
ハラスメントに当たるでしょうか。
Q: 管理委託契約書の保管・閲覧はどのように行うのですか?
A: 標準管理規約第64条関係コメントで、理事長が作成、保管すべき帳票類のひとつとして管理委託契
約書をあげています。また、閲覧の請求に当たっては理由を付した書面の提出を要件としています。
なお、帳票類の閲覧請求は管理会社に対してではなく、理事長に対して行ってください。
管理業務委託に関するトラブルが発生した場合に備え、マンション管理標準指針では、業務委託契約
書を保管し、区分所有者又は利害関係人の求めに応じて閲覧できる状態で保管していることを、管理
組合の標準的な対応としています。
【判例】
会計帳簿についてですが、閲覧請求できる「利害関係人」とは、区分所有者たる組合員及びそれに
準ずる者(賃借人、同居人等)であるとしたものに(東京高裁平成14年8月28日判決)があり
ます。
Q:マンション内の居住者の高齢化に伴う対応を管理業者に委託することは可能ですか?
A:我が国の高齢化の進展等に伴い、高齢者や認知症有病者などの特定の組合員を対象とす
る業務を管理業者が担うことも想定されますが、当該業務については、原則として便益
を受ける者が費用を負担することに留意した契約方法とすることが必要です(3条関係
コメント④)。
Q : 標準管理委託契約書とは、どのようなものですか。
A:標準管理委託契約書は、平成15年に改訂され、正式名を「マンション標準管理委託契約書」といいます
(その後も平成21年、平成28年、平成30年、及び令和5年に一部改訂が行われました)。これはマンシ
ョンの管理委託契約に係る標準的な管理委託契約書として住宅宅地審議会の答申を経て、管理組合と管
理業者が管理委託契約を締結する際の指針として活用するよう国土交通省が公表したものです。これは
あくまでも標準形であり、実際の契約に当たっては、それぞれのマンションの状況に応じ、適宜修正し
て活用することとなります。
解説
(1)マンション標準管理委託契約書の位置づけ
マンション標準管理委託契約書は、管理組合とマンション管理会社の間で協議がと
とのった事項を記載した管理委託契約を、マンション管理適正化法第73条に規定す
る「契約成立時の書面」として交付する場合の指針として作成されたものです(標
準管理委託契約書コメント1①)。
また、この契約書は、住居専用の単棟型マンションに共通する管理事務に関する標
準的な契約内容を定めたもので、実際の契約に当たっては、個々の状況や必要性に
応じて内容の追加、修正を行いつつ活用するべきものであるとされています(コメ
ント1②)。
(2)最近の改正の主な内容①平成28年改正の概要
マンション標準管理規約の改正で、管理状況などに関する情報の開示に係る規定が整備された
こと等を受け、宅地建物取引業者等からマンションの管理状況など区分所有者が専有部分を売
却する際に必要となる情報の提供依頼を受けた場合に、管理会社が開示する情報項目として、
「大規模修繕工事の予定」「役員の選任方法、理事会回数等」「専有部分使用制限(ペット等)や
関連の使用細則条項」などが追加されました。また、開示の相手方も、「管理組合の組合員から
媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者」だけではなく、「専有部分の売却等を目的とする情報収
集のためにこれらの提供等を求めてきた組合員」もその対象とされたところです。さらに電磁的
方法による開示も可能とし、情報開示のための費用を、提供を行う相手方から受領することが
できることなどが規定されました。
Q:管理会社との定期的な打ち合わせは、どのようにすればよいですか。
A:マンション管理標準指針では、理事会が管理会社と定期的に管理事務全般についての打
ち合わせを行っていることを標準的対応としています。さらに、同コメントでは、管理
会社と定期的に管理事務全般についての打ち合わせの機会を設け、クレームや要望を率
直に伝え、対応を促したり、管理会社の考え方やアドバイスを受けることなどを通じ
て、相互理解を深め、パートナーシップを良好に保つ努力をすることも重要であるとし
ています。
Q: 管理員や管理業者に対し、理事や一般組合員が様々な要求をすることは、カスタマーハ
ラスメントに当たるでしょうか。
A: 管理組合の役員や組合員等が、管理業者の使用人等に対し、管理委託契約に定めのない行為や法
令、管理規約、使用細則又は総会決議等に違反する行為を強要すること、侮辱や人格を否定する発言
をすること、文書の掲示や投函、インターネットへの投稿等による誹謗中傷を行うこと、執拗なつ
きまといや長時間の拘束を行うこと、執拗な架電、文書等による連絡を行うこと、緊急でないにも
かかわらず休日や深夜に呼び出しを行うことなどがカスタマーハラスメントに該当します。
マンション標準管理委託契約書では、組合員等が管理員等に対し「情報の伝達」や「相
談」、「要望」をすることは、上記のようなカスタマーハラスメントに該当する内容や態
様でなければ可能であるとしつつ、管理組合が管理業者に対し「指示」をする場合に
は、理事長等管理組合が指定した者から、管理業者が指定した者に対して行うものとし
ていることに注意してください(8条・同条関係コメント)。